妄想脳持ち。SSとか絵とか。
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In the BlueSky 《6》
「さ、これを着て」
うまいこと誰にも見つからずに自室に戻ることに成功し、王宮に招き入れるにはあまりにみすぼらしい身なりだった彼を着替えさせた。
「窮屈くせぇ服だな…」
当人はいささか不服そうにしているが、意外にも様になっている。
「似合っているわよ、お客様!」
ニコニコと笑いかけると、仏頂面が少しだけ赤らんだ。
それがなんだか可愛らしくて思わずくすりと笑うあたしに気付いたのか、彼は即座に元のムスッとした表情を作る。
可愛いのか可愛げも無いのか…うちに来たばかりの頃のナッちゃんの雰囲気が、こんな感じだったっけ。
話しかけてもいつも怖い顔で、目も合わせてくれなかったのを思い出す。
「そういえば…ホントに名前がないの?」
「何度も言わせるなよな、必要ないから好き勝手呼ばれてたさ」
「ふーん…。」
未だにピンとこないが、彼はこの歳で天涯孤独。
根無し草の生活などあたしには想像もつかない…だけど。
帰る家も家族も、名前を呼んでくれる相手すらいない人生とは…なんだか、寂しい。
「…ソラ!」
「……は?」
安直すぎるかもしれないが。
すぐに思い立ったのだ。
「空から降ってきたから。だからソラね!」
突然の呼び掛けに盛大にキョトンとしている彼だったが、好きに呼ばれていたのなら問題無いじゃない。
「あ、そ…。」
あたしの得意げな表情を一瞥すると、彼はどこか物申したげな目を彼方にそらして頬杖をついた。
「なによう、なんか文句ある訳?」
「べつに。」
こうして、成り行きで名付け親になった訳だが、彼との出会いによってこの先のあたしの人生が思いもよらない方向に覆されるとは、この時には微塵も想像などつく筈もなかった。
「ねえソラ!教えて!!」
外の世界のこと、彼がどんなふうに生きてきたのか、庶民の暮らし、着ているものや食べているもの、同じ年頃の子供はどんな遊びをしているのか…聞きたいことだらけだ。
はじめは若干鬱陶しそうだったが、日が傾くまでの長い間、彼は色んなことをあたしに話して聞かせてくれた。
王宮の厚い門を越えたら、それはまるで別世界。
堅苦しい公務もなければ、見た目を気にしてしおらしくする必要もない。
美味しいものをたくさん食べて、走り回って…そんな素敵な時間をいつも共有する友達だって、たくさん作れる。
「…いいな、あたしも行ってみたい」
話がひと段落ついたところで思わずそう漏らすと、ソラはそんなあたしの顔を仰ぎ見て、不思議そうに首を傾げた。
「じゃ、何で行かねーんだ?」
「えっ…」
さも当たり前のように言う彼の言葉など、あたしには全く思いもよらない発想だった。
「だったらさ、出てっちまえよ、こんなとこ。オレが教えてやるからさ」
簡単なことだろう、扉を一枚くぐればいいだけの話なんだぜ?
涼しげな顔をして彼はそう言うのだが、あたしにとってはその扉の重いこと…。
王族に生まれ、当たり前のように王女として生き、そしていずれは一族の長となる人生以外、考えたこともない。
というよりも、そんな選択肢など初めから存在しなかったのだ。
だけど、こともなさげにそんなことを言われると、何だか全く難しい話ではないような気がしてくる。
ソラの言葉を聞くと、そのまっすぐな目を見ると…不思議と心が軽くなるような気がした。
王宮を抜け、外の世界で普通の女の子として生きる、そんな自分を一瞬想像して…
でも、やっぱりあたしは首を横に振った。
「うん。ありがとう、だけど、無理だよ…」
夢ならいくらでも見られた。
現実的に考えたところで、やはり到底成しえない未来であることは想像に難くない。
白龍族の姫として生まれたあたしは、白龍族の長として生き、そしてここで一生を終える。
もう決まったこと…。
また面倒な奴だとどやされるかと思ったけど、そのまま黙って俯くあたしにソラは何も言わなかった。
そして双方しばしの沈黙を経て、それを破るのはやはり彼の方だった。
「じゃ、オレは行くわ」
さっき、彼と出会ってすぐにも聞いた台詞…胸がチクリとした。

…嫌われた……。

自由を駆ける風のように生きる彼にとって、引きこもりで意気地なしのあたしなど鬱陶しいだけだろう。
もう、さっきのように呼び止めることもしない。
彼とあたしでは、生きる世界が違うのだ。
彼の背中を見送るのが辛くて、俯いて目を伏せたその時…思いもよらない言葉が背中から降ってきた。
「また明日も来てやるから、そんな顔するなよ」
「……!」
振り返った時には、ソラはもうその場には居なかった。
窓の外はあの瞳と同じ色、綺麗な夕焼け空が広がっていた。


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In the BlueSky 《5》
In the BlueSky 《5》



「ちくしょー絶対許さねぇぞアイツ!」
あれだけ豪快に…そう、クレーターが出来上がる程の衝撃をもって地面に激突したというのにピンピンしているその得体の知れない少年は、今しがた出来上がったばかりの窪地の中央に仏頂面で鎮座し、ひたすら悪態をついている。
「…えっ、と………。」
対するあたしは一体どんな接し方をしていいのか解らずに、ただまごついていた。
「お。オメーまだいたのか、怪我無いかよ?」
困惑しているあたしに漸く気付いた彼は、何事もなかったかのような顔をしてこちらに向き直った。
実にあっけらかんとした態度で、呑気に身体に着いた砂埃をはたいている。
「や…あたしはなんともないけど、アナタ……」
怪我無いかよ、は、どちらかといわずとも完全にこちらのセリフだ…。
あたしの訝しげな視線に首を傾げていた彼だったがフンと一つ頷くと、軽々窪地を跳び抜けてこちらに近づいてきた。
「驚かせて悪かったな。クソガキに喧嘩売られてよー、そんで吹っ飛ばされたんだが…ここ、どこだ?」
色々突っ込むべきところはあるがどうやら悪意がある相手には到底思えないので、ここが白龍族の王宮であること、あたしがその姫であることを話した。
彼の方はふーんと生返事をすると特に驚いた様子もなく、でも物珍しそうにキョロキョロと周りを伺っている。
「だけど本当にビックリした…突然降ってきたと思ったらアナタ、何事も無いようにケロリとしてるんだもの……」
まじまじと見つめればその少年の瞳は、今迄に見たこともないような真っ赤な色をしているのに改めて気付く。
天界人にもこんな出で立ちの人種がいたのか…あたしはあまりに外の世界のことを知らない。
「あなたはどこから来たの?名前は?」
その問いに一瞬キョトンとした表情を見せた彼だったが、すぐに明後日の方向を向くと相変わらずケロっとした様子で答える。
「さぁな、名前なんてねーし根無し草だからな」
彼の方は大したことでもないようにしているがあたしにとっては、あれもこれもが一々びっくりすることだらけだ。
名前も住む場所も無いなんて、そんな生活は全く想像もつかない。
「名前ないの?嘘!お父様やお母様は??」
「嘘言ってどーするよ…物心ついたときから俺はこーだぞ、親も家も無ェよ」
此方の大袈裟なリアクションに対して少し鬱陶しそうに答えた彼だったが、腕を伸ばしてくあっと伸びをすると今度はあたしの顔を覗き込んできた。
「オメーこそこんな狭い所に閉じこもりでよく我慢できるな、お姫様」
お姫様。
好きじゃ無い呼ばれ方。
あたしだって好きで王族に生まれた訳でもなければ、選んでこんな所に閉じ込められている訳じゃない…。
そう言いかけて…、私は言葉を飲み込んだ。
世の中には満足な食事をとることさえままならない人達すらいるというのに、あたしの不服など全くもって贅沢なのだ。
その不自然な間を訝しんで、少年は眉間に少ししわを寄せる。
「何だよ、言いたいことがあんなら言えばいいんじゃねーの?」
「なんでもないわ…」
何だか悟られる気がして、あたしはそれが嫌で…思わず目線をそらした。
彼はもともときつい目元を更に釣り上げて、面倒臭い奴だなと溜息をついた。
「じゃ、オレは行くわ」
そのまま踵を返して撤退しかける。
彼の背中を見送りかけたあたしの中で何故か…寂しいような焦りのような甘じょっぱい感情が弾け、そして、
「待って!」
あれこれぐるぐると巡る思考よりも先に口を突いて出た声が、立ち去る彼を呼び止めていた。
「あなたの話が聞きたい、あたしに外の世界のことを教えて!」
In the BlueSky 《4》
In the BlueSky 《4》

「?!」
いつの間に忍び込んだというのか。
薄暗い部屋の片隅にその暗闇は、居た。
暗がりには細くすらりとしたその輪郭しかわからないが、漂ってくる雰囲気から何とも心地悪い気の流れが闇を伝い、まるで毛穴の一本一本からじわじわと肌へ浸透してゆくようだ。
「無断でお部屋にお邪魔いたしましたこと、まこと申し訳ありません…ですが、」
ゆらり、と、それはこちらに向かって動き出した。
次第に明らかになるその表情。
不気味にニタリと口元を歪ませて、嗤う。
「そのようなお顔をされては…次期王の威厳を損ないますよ?」
「貴様、何者だ…何を言っている……」
ゆっくりと近寄ってくるそれに対峙し、俺は護身用の短剣に手をかけ、身構えた。
相手が自分の目の前に立って初めて、彼は華奢なだけではなく見上げる程の長身であることをみとめる。
不気味に黒光りする長い髪をさらりと揺らし、薄気味悪い笑みを浮かべたその顔面は俺とはまるで真逆な褐色の肌。
彼が白龍族の者ではないということは、一目して明らかだった。
「おっと、これはまた失礼いたしました。私の名は鼉潔(だけつ)…黒龍族の長にございます」
片膝をついて跪き、此方に右手を差し出した彼は、細い目をさらに細める。

黒龍族、だと…?
外の世界の事情に疎い俺でも知っている。
かつて五大龍王族に名を連ねていた一族。
天帝に対し謀反を起こし、結果引き起こされた戦に際し滅んだと聞く。
その末裔が生き残っていたというのか。
「ご警戒なさらず。種族さえ違えど、おなじ龍族ではございませんか」
「…お前が何者であろうが関係ない、何処からこの宮殿へ忍び込んだ」
まるで嫌なにおいしかしない。
腰の低さも、明らかに裏のある笑顔も…全てが胡散臭い。
その薄気味悪い表情を僅かばかりも変えず、鼉潔と名乗ったその男はクックッと嗤う。
「忍び込んだとは心外な、きちんと許可を得て正門から上がらせて頂きましたよ」
「馬鹿な…」
守備の固い白龍族が、このようなまるで胡散臭い輩を通す筈も無い。
それも、反逆者の黒龍族の長ともなれば尚のことだ。
そして…何を企み何が目的でわざわざ、虐げられた存在である俺の元へ降り立ったのだ。
…額に背に、嫌な汗が滲む。

そんな張り詰めた空気を纏った俺を見下すかのようにニタリと歪んだ口元に微笑みを浮かべたまま、奴は再び口を開いた。
「摩昂様は…」
不意に見開かれた瞳もまた、底なしの闇のような漆黒…魂が吸い込まれてしまいそうな気すらする。
「黒龍族が、何故滅んだのかはご存知ですか?」



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In the BlueSky 《3》
締め切った窓の外がどんなに快晴であろうと、俺の心にかかった鬱陶しい暗雲はいつまでもまとわりついたまま、決して晴れやることはなかった。
そもそも心の奥底に明るい光など、見たことがない。
晴れ渡った心地良い青空など、おがんだためしがない。

そして、どうやら…暗闇が蠢く感情だけを抱えた心には、同じ類の獣が寄り添ってくるのだろう。
完全に迂闊だった、それだけは頭の狂っちまった今でもわかる。
それでも後戻りができなかったのは、黒く染まり切ってしまった俺の心が弱かったのだ。
衰弱した獲物を探して目を光らせ旋回するハゲタカの如く、いつでも付け入る隙を見計らっているそれに俺の心が捕らえられるのは、まるで容易いことだったのだ。



「摩昂様…お食事のご用意ができましたので……」
「……。」
いつものように扉越しに聞こえる侍女の面倒臭そうな声。
此方の反応を伺うことすらなく、早急に立ち去る足音が薄い壁一枚を挟んで聞こえる。
返事をしようが無言だろうが変わらないのなら、声を出すことすら面倒だ。

カタチだけの王族。
この一族にとって、俺はオニモツ以外の何物でもない。
…いっそのこと追放でも何でもしてくれればいい、それなのに。
こんな場所に括り付けられているのは、仮にも四大竜王族のメンツにかかるから。
ただそれだけの理由で、いたずらに意味もなく、俺は生かされている。
全くもって馬鹿げた人生だ。
あまりにも有難すぎて反吐が出る。


「姫!」
外から、半年前にやってきた傭兵の娘の声が聞こえてきた。
程なくして楽しそうに話す笑い声が響く。
窓の外には、この陰気臭い部屋とはまるで真逆の世界が広がっているのだろう。
「姫…ねぇ。」
白龍族の姫君であり、俺の双子の姉、蓬莱。
姉を恨んだことはない。
恨む道理などないのだから。
だが、何故?
同じ日に同じように生まれ同族の血を引くもの同士、それなのに。
この対極の人生に、納得などいくはずもなかった。
「………クソッ…」
やり場のない、怒りとも憎しみとも取れないこの感情を抱えた心は、日を追うごとに深く深くへと底を広げてゆく。

そんな時だった。
音も無く、暗闇が俺の心に踏み入ってきたのは。



「コンニチハ、"王子様”?」


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女媧

女媧

年増。←

名前:女媧
性別:女
肉体年齢:47歳
身長:168cm(人型時)    
一人称:妾(わらわ)


創世神。
愛する我が星を汚した人間を許せずに、かつてヒトの手をもってして破滅の罰を与えた。
その力は螺旋となって残り、同じ罪を繰り返す人間にまた脅威となって舞い戻ることとなる。
地上には殆ど降り立つことがなかったので、多くは謎に包まれ伝説化ている。
人間の男と恋に落ち、その間に子をなしたという言い伝えもある。

***

西遊紀行のラスボスって何なんだろう…って、考えたら、こういうことになりました。
という訳で…。
ミクラの能力はほぼ初期から決まってたけど、創世の女神が云々っていう設定は思いっきり後付けなのでした!\(^o^)/
上手いこと、してやった!と思っている自己満www


イメージソング:小さき負傷者たちの為に(中島みゆき)
⇒友達に宛てて頂いた曲…ピッタリ過ぎて震える…(((´;ω;`)))
歌詞も勿論のこと、声質とかもこんな感じじゃないだろうかと思うのですごくしっくりきました。
愛する惑星を汚す人間どもを憂いている神様。

「言葉持たない命よりも 言葉しかない命どもがそんなに偉いか」

人間が大嫌いな彼女の叫び、のような…
In the BlueSky 《2》
「姫!」
その日の午後は予定がなかったので、特に目的もなくぶらぶらしていると不意に後ろから声をかけられた。
「ナッちゃん」
一年程前からうちに仕えるようになった傭兵部族の子。
あたしとほぼ同じ年頃の女の子だ。
来たばかりの頃はぎくしゃくしてたけど、色々あって最近ではずいぶん仲良くなった。
護衛をしてくれるとかで王宮に住み込みで仕えてくれている。
宮殿の外に出る時は必ず側にひかえているし、先ほどのような謁見の場なんかではいつも、異常がないか広間の隅で目を光らせている姿が見える。
年端もいかないような少女なれどその実力たるや、仲間内でも一目おかれる存在らしい。
そんなことよりあたしにとってはこの狭い鳥籠の中に友達ができたことがとても嬉しくて、それもあってかこの頃は摩昂のことをすっかり気に留めなくなっていた。

「お散歩ですか?」
彼女はすぐさまこちらに駆け寄って来て、ニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべている。
さっき謁見の間で見せていたピリピリした表情とは、まるで全くの他人みたいだ。
「うん、特にすることもなくて…そうだ、一緒に庭でお茶しない?美味しいお菓子を貰ったの」
あたしがそう返事をすると途端、彼女はさっきまでのニコニコ顔を一気に曇らせ、見るからにとても残念そうな顔でしゅんと肩を落とした。
「申し訳ない、折角ですが…急な遠征に召されて、行かねばならないんです……」
「そっか…」
彼女の家系は傭兵部族。
一人前になればフリーで仕事をすることもあるらしいのだけど、未熟なうちは一人の雇い主に仕えながら時に、召集に従うのが基本とかで…一年前うちに来てからも何度かそういうことがあった。
物心ついた時からその生き方しか知らないという。
敷かれたレール…あたしとおんなじだ。
ナッちゃんはそんな自分で選んだわけではない、決められた自由のない生き方に不満を感じないのか、これまでにもあたしは何度も尋ねた。
でも、毎回決まって彼女は笑って二つ返事ですぐさまこう答えるのだ。


「姫のお側にいられることが、ボクの幸せですから!」


嬉しかった。
だけど…鳥籠の中で自由のない、決まった生き方にただ流されるだけの人生をどうしても許せずにいた自分には何だか申し訳ない気がして、その言葉がいつも少し…ほんの少しだけ……、胸に刺さっていた。

「では、名残惜しいですけどこれで…良い午後をお過ごしくださいね!」
「うん、ナッちゃんも気を付けてね…」
ほんの少しの言葉を交わしただけで、また一人になった。
気を付けてね、とは言ったものの、彼女はいわゆる闘いに出向いた訳だから無傷で帰ってくることもないことは、この一年でよく分かっていた。
それでも、なるべくなら傷つかないで帰ってきて欲しい…と、自身は決して傷つくことのない王女のあたしが思うのは文字通りに、なんとも良いご身分な話、なのであろう。


はぁ…。


やり場のない思いを乗せた大きなため息をついて、ひとり空を仰ぐ。
何処へともなくゆっくりと流れてゆく白い雲に、果てしなく続いている広大な青。
こうやって、何も考えずのんびりと青空を眺めるのが好きだ。
広く深い青を視界いっぱいにすると、ちっぽけな存在である自分のちっぽけな悩みなんか、全く大した事でもないないように思えてくるから。
今日の空も最高に心地が良い。
あたしはゆっくりまぶたを閉じると、頬を撫でるそよ風を感覚を研ぎ澄まし、感じていた。

…すると、
「…〜〜〜……ッッ!!」
「…?」
風に混じって微かに、何だかおかしな音を聞いたような気がして目を開く。
「〜〜〜ああぁぁぁーーーーーッッ!!」
「?!!」
そしてあたしは、つい数秒前まで見えていた景色に異変が起きていることを瞬時に認めた。
頭上に広がる一面の青を切り裂いて、小さな点からみるみる大きくなってこちらに向かって来る影が一つ…猛スピードで此方に向かって‥、降って来る。
次第に明らかになってゆく輪郭は、
「……人?!」
自分と同い年位の男の子が、大音声を上げながら真っ直ぐ落下してくるのだ。
「…ちょ、危な…!?」
「のけえぇぇぇーーーー!!!」

ズドーーーーーン!

大音声はそのまま地響きと融合し、辺り一面に砂埃を巻き上げた。
急に静けさを生んだ空間に、埃臭さが漂っている。
あたしは恐る恐る、たった今しがた出来上がったクレーターを覗き込んだ。
…普通、死ぬ。
しかし、普通ではなかった。
「くっそ、痛ぇー!あんにゃろ…!」
彼とのなんとも滑稽な出会い、そして、夢にも思わなかったあたしの人生の転換はまさに、ここから始まったのだ。
自分が笑う用(笑)
 カマリエン現役の小話も出てきたので、比較してみようと並べてみた。
ニューハーフくっそwwwと笑いつつ…、
こんなもの書いたこと忘れてても、同じシーンがほぼ同じ情景描写や台詞で頭の中にずっと根を張ってたのが、自分自身で嬉しかったりもした。
「〜たい〜たい」言ってて鯛の大漁なだけなのが私って本当に下種だと思うんですが!\(^o^)/、10年近くずっと変わらずに頭の中に残ってたこのシーンも、いつかコミカライズしたいなぁと思う大事な場面。


*****

「またそんなところにいたの…」
「…」
後ろからかけられた声に反応する様子もなく、少年は無表情のまま頭上に広がる白銀の世界を眺めている。
今夜の風は肌にさすように冷たいが、お構いなしに、である。

年のころ12、3歳。
まだかすかに幼さが残るその相貌に不釣合いなきつい眼光…
その奥に深い悲しみを湛えていることを知る者は少ない…というよりも、今彼の背後に立つこの人物
のみが解している。
数ばかりがそろっている身の回りの世話人、実の親でさえ、彼の気持ちを理解できてはいない。
否、理解しようとはしていないのである。

せめてこの子の母親が生きていてくれたならば…

切に思う。優しい女性だった。
おおらかなその人柄は全てをやさしく包み込むようであり、なによりも人の痛みを分かる、
理解しようとする姿勢に誰もが魅かれた。
彼女ならば、この少年の傷を幾分かは和らげることができたかもしれない。
しかし、この少年と母が共に生きることはできない。彼が生まれるその前から明らかであった皮肉な運命…

「風邪、ひくわよ…?」
「…」
小さな身体で、たった独りで…こんなにも苦しんでいるのに力になってやれない自分が不甲斐無い。
「…ホラッ、夜更かししてるといつまでたってもそんな女の子みたいなままで大きくなれないわよ…ッ!!」
苦し紛れに、せめて自分だけでも明るく振舞おうとする。
それでも、この閉ざされた心を少しでも解き放つことができればと願っていることだけは確かだ。
「…」
その思いもむなしく、やはり空振り。
それでもいい。いつか、この少年の笑顔が見られるのなら、その時までは…。

…しかし、予想に反して次に静寂を切り裂いたのは変声期を迎えない少年特有の澄んだ声であった。
「……お前にだけは言われたくないわ…ッ。気色悪い格好と喋り方しやがって…」
「…な……っ!!」
ようやく反応してくれた嬉しさと、返された言葉の痛さの間で苦悩するその人物の風体は、
確かに異様そのものである…。
風に流れる黄金色のセミロングヘア。
…浅黒い肌に厚化粧。
………そして、がっちりとした肩と胸板…紅く塗りたくられた唇から発せられる声は太い。
所謂、ニューハーフとはこういうものであろう。彼(彼女?)の場合、行き過ぎてはいるが…
「…なぁ、リエン」
頭を抱え込んでいた男、リエンは相変わらずどこか物悲しい雰囲気をかもし出すその高く
か細い声に耳を傾ける。
見ると膝を抱え込んでいた。
元々小柄な体躯が、さらに小さく見える。
彼がこんな風にうつむいて物を言う時は、いつだってそう…

「こんなに綺麗な星空の下でさ、俺なんかが生きていていいのかな…」

どうしてそんなに悲しいことを言うのか…
どうして彼だけがこんな思いをしなければならない……

*****




身を刺すような寒気が大地を覆う。
その分空気はよく澄んでいて、頭上には宝石箱をひっくり返したような星空が無限に広がっていた。

この美しい星空を、意味もなく眺めるのが好きだ。
凍てつく寒さも忘れる。
…否。
独り寒さに凍えるのが、自分にはお似合いだと思う。



あれから…9年の歳月が流れた。

あの日、全身からこぼれんばかりの笑顔をふりまきながら走りまわっていた少年も、今年で齢14。
面影はそのままに、少しだけ大人びて。
…しかし。
今ここに、あの玄奘はいない。
無邪気に笑っていた少年の時間は、9年前の夏の終わりに置き去りにされてしまった。
閉ざされた心は、この真冬の大地のように凍りついたままだ。

無表情に、たった独りきり空を仰ぐ。



「見つけた。」
また、ここに居たのか。

背後に歩み寄るは、隻腕の大柄。
屋敷から持ってきたのであろう厚手のコートを玄奘の背中に羽織らせながら、隣に座る。
やれやれ、心配ばかりかけさせられる…今も昔も変わらない。
「……。」
横に並んだ大柄に視線だけ投げ、彼はまたうずくまった。
正反対に小柄な体躯が、ますます小さく見える。


今も昔も変わらない、
でも、

何もかもが、全く変わってしまった……。



「…こんなに綺麗な星空の下でさ」
しばしの沈黙を破って漸く発せられたのは、消え入りそうな声。
膝を抱え込んでうずくまって…震えているのだろうか。
今日もまた、耐えられない悲しみに包まれながら…
この美しい世界に、こんな……
「血にまみれた俺なんかが生きてていいのかな…」
消え入りそうな声が木枯らしに重なって、啼いた。


見ていられない、こんな彼を…
リエンは目を伏せ、静かに昔を思い出す。
溢れる愛に包まれ、幸せに笑っていた少年を返せ。
叫びだしたい思いにかられながら、しかし、誰に望むというのか。


神など存在しない。


この世界を再創造するいわば生き神は玄奘であるが、そんな名目など…この子には必要ない。




胸がが痛い。
失った右腕が今宵もまた、疼く…。


〜〜〜〜〜


―――あの日を境に9年の間、様々なことが起きた。
だがそれの全てすべては少年の心に傷を残すばかり、数えきれない悲しみの軌跡……。
玄奘の盾となり、数えきれない血が流れ、命が失われ…そして、彼を守るべきリエンの右の腕は失われた。
こんな傷、玄奘を守るための代償ならば痛みも苦痛もない。
だがその気持ちとは裏腹、かえってなお一層に、彼の心を傷付けてしまった…。
それから以前にも増して周りに人を寄せ付けなくなった玄奘。
自分のために、あまたの血が流れるから、そしてそれに濡れて痛いから…。
勝手に独り屋敷を抜け出して、ふらっと出ていってしまうことが多くなったのはそのせいだ。
下手をしたら帰ってこないかもしれない。


このまま永遠に…この少年に笑顔は戻ってこないのだろうか…。
あの日、この丘一面を明るく彩っていた花畑は今年もまた枯れ草ばかりの大地に変貌し、まもなく厳しい冬を迎える。
そして大地を覆う雪が溶け春を迎え、暑い夏が過ぎてまた同じように、温嬌が好きだったあの花が咲き誇る秋を迎えても………。




―――きれいな花が咲いてたら、ははうえにもってきてあげるね!

―――ありがとう、玄奘は優しいね。







「…帰ろう。こんな所に居続けたら、身体を壊すだろ?」

「………。」


はらり。

ふと。
差し出された左手を握り返すことなく無言で立ち上がった少年の頬に、うまれたての粉雪が舞い降り、そして消えていった。
季節は巡り、時は流れる…
月が欲しいと泣く子供
サイト建設しようと思って、過去のサイトをいじって作りなおしておるんですが(…。)、自分でも書いたことをすっかり忘れてたコウ過去の小話が出てきたので、忘れないようにここにおいとく!><
…そりゃ忘れてるよね、八年前だったwwwwww
コウの過去話はソラホウライが終わったら書けるかなぁって感じですが…。うーーん。。。
 


お題配布元→「追憶の苑」
●月が欲しいと泣く子供●

「こんなに綺麗だったかなー…」
数日間泣き顔だった空が、ようやくに機嫌を直した。
久方ぶりに姿を現した黄金色は見事で、思わず溜息をもらしてしまう。

「へぇー、珍しい」
女のケツばかり追ってるアンタも、自然物を愛でるなんてねー。
思いっきり厭味ったらしく漏らす妻に、すかさず振り返る男は心外そうで、
「何言ってる翠蘭、まいすいーとはにー!!
 ……一番愛してるのは君だけさッ☆」
「…あー。
 ……よくもまー平然とそんなこと…」

こんなやり取りはまぁ、いつものことなのだが、欠けたることなしの満月という
奴は、昔から何処か、人の心を特殊な方面に揺らすものであるらしい。

…そして、それは、予感なのかも知れない。

「…ねぇ、天蓬………」
漏らした切なげにか細い声音、そのらしくなさに、自分でも驚く。
―――そんな気分にさせるのは、月があまりに綺麗だから……。
「んー?」
妻のいつもと違う雰囲気に気付きながらも、男はなんともなしに受け答える。
何よりも気遣われるのが嫌いな彼女だから。
月明かりに照らされた横顔は、確かにいつもと違ってどこか淋しげであるが、
研ぎ澄まされた刃の力強さはいつでも持ち合わせている。
『一軍元帥』―――その肩書が彼女を否応にもそうさせている。
軍人家系の一人子としてこの世に生まれ落ちた、その時から……

―――けれど…

「…あたしは……あたしは本当は…―――」
「綺麗な月だよなー」
間髪いれずに横からわり込んでくる言葉。
女は何ともいえない気持ちで目を伏せる。
「天蓬…」

ああ…。
皆まで言わなくても分かっている、ずっと前から。
一緒になろうと思った、その心の奥に隠れた優しさを知った時から…
しかし、聞いてはいけない、直に言わせたくはないのである。
彼にだって充分すぎるほどその気持ちは理解できているのだ、そして望んでいる。
だが、この道に生きそして果てるまで望んではいけない……。


ごく普通にありふれている幸せを、自分たちは望んではいけない


「戦争を、軍を捨てたら部下は、民はどうなる…」
「…わかってる………」
「手が届かないからさ、余計に欲しいって思える……」
「…うん………」
「手が届く平和だとか幸せとかを守っていくのが俺らの使命なんだろうなぁ」
「…うん………」
だけど、それを自分たちは手にできないのか…
普通の女として、男として…
―――夫婦として……。
いつどちらが命を落とすやも知れない、召集を喰らえば赴かねばならない。
まして上級幹部である。

目に見えるのに、望めない幸せ。
伸ばせば届きそうな手で、触れることの叶わない幸せ。


―――…



さみしいよ…



近くにあるのにさみしい……





降り注ぐ月光が、無言のままに若い二人を包み込む。
美しいその母体を手にすることはできずに、ただ惚れ焦がれ、見つめることしかできない。



―――月が欲しいと、泣く子供。



*****
えとー、なるC(コウ=天蓬)天界時代話なんですが…。
―――あー…えー……;
原作ファンの方に平謝りm(_ _;)mゴメンナサイ
いや、ゆっとくけど私だって原作好きですよ!!!ホントだよ!!!!!!
……捏造甚だしいですが、ウチの翠蘭は ツンデレ女軍人 です。(殴
しかも元帥…;なる男より階級が上だという設定ですよん…いいのかッ。

そして、この後、悲劇が訪れる……嗚呼。

ていうか、やっぱ自分はモノカキ向いてないです、うふふふふふ………orz

20070707

金麗

金麗(金吒)
元祖HENTAI★

名前:金麗
性別:女
肉体年齢:24歳
身長:148cm
一人称:俺


金麗は本名、金吒は仕事名。
生まれつきの黒眼ではなく、生まれた時は翡翠色だった。
傭兵一族李三姉妹長女にして、戦力は一族の中でも断トツ。
何事にも動じず、いつも飄々としている。
彼女と剣を交えて無事に済んだ者はいないという…天界では一目おかれている、ちょっとした有名人
…だが、、、

ちょーーーーーーーーーぉ変態。

もともと男勝りだったところ成長過程で中身までまるっきり男と化してしまった上に、美女とボインに目がない(…。)
巨乳クールビューティーな次女に絡んではどつかれている日々。

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名前はアレです、ごめんなさいorz(あっ、そういえばまだクリアしてないんだった!;殴)
「中身男な奴に、あり得ん可愛い名前付けたれ!」っていう、遊びです…本気でごめんなさい………。
金姉は、先にナッちゃんと木姉がデザインされてたので、「じゃあ流れ的に長女もほしいのでは?」というよくわからない流れで付け足してみたら結構気に入っちゃったので、考えて良かった(笑)
そんな後付け姐さんですが、モチーフが当時の自分自身です。(どーーーん)
「鏡を見たら、女版ソラがいた…。」って自虐ネタ。
しかし今はこんなに華奢じゃないので無理\(^o^)/


イメージソング:探し中!

IBSダイジェスト。
こないだのBSBダイジェストと同じノートに書き留めてあったIBSのダイジェスト漫画を、追記でのっけます。
ふひwwww画力wwwwwwwwwwwwww
これはBSB程改変もなく書き切ると思います…10年で全然練ってないのでw\(^o^)/

そして、初めの方しか読んでないので全然知らないのだけど、ホーライ弟と黒龍の人がブリーチのキャラみたいで笑える…
サガも石田君みたいだしね…。

因みに過去編の王宮にいたころのホウライは蓬莱です。
下界におちてからカタカナ表記。


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